救急医 ざわさんのブログ

東京の病院で三次救急をやっています.自分の日常診療の知識のまとめをしたり、論文や本を読んで感想文書いています。日常診療の延長でブログを始めました.ブログの内容の実臨床への応用に関しては責任を負いかねますので,各自の判断でお願いします.内容や記載に誤りや御意見がございましたらコメント頂ければと思います.Twitterもやっています(https://twitter.com/ryo31527)

【メモ】カフリークテスト

今日,後輩のレジデントからカフリークテストについて質問を受けました。

きちんと答えられなかったので,情報収集。

今後は,「かんたんな調べもの」についても【メモ】の形で残していこうかと思います。間違っていることがあればご指摘いただけると勉強になりますのでよろしくお願いします。

 

以下は,人工呼吸器離脱に関する 3 学会合同プロトコル

(https://www.jsicm.org/pdf/kokyuki_ridatsu1503b.pdf)

を参照しています。

 

◆カフリークテストとは?

人工呼吸器患者が,SAT/SBTをクリアした段階で抜管する際,

長期挿管(48時間),女性,大口径の気管チューブ,挿管困難,外傷など抜管後に上気道狭窄の危険があると考えられるときに行われる手技。

カフリークテストが陽性の場合は下記のような対応を行って抜管に備えます。

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◆カフリークテストの具体的方法と注意点

・気管内・口腔内吸引を十分行う

・呼吸器設定はA/Cモード

・まず最初にカフが膨らんでいる状態の呼気Vt1を測定

・カフを抜いて呼吸が安定したら,連続6回のVtを測定,低いほうから3回の平均値をVt2とする

・Vt1-Vt2が110㎖以下もしくは,Vt1-Vt2/Vt1が10%以下の場合カフリークテスト+

・このカフリークテストの感度は高いが特異度は低い(カフリーク-でも喉頭浮腫を否定することはできない)

・故に実施方法も施設によって若干異なるので必須のテストではない。

 

◆他の資料のカフリークテストに関する記述

聖マリアンナ医科大学JC(20171003)カフリークテストと抜管前のステロイドについてまとめてくれています

http://www.marianna-u.ac.jp/dbps_data/_material_/ikyoku/20171010Nagano.pdf

 

・Up to date “Extubation management”の中の“Cuff leak”参照

→Cuff leakには定性的(カフをしぼませて呼気が返ってくるか)と定量的(カフをしぼませて少なくとも6回のうち低いほうから3回の呼気の平均を計算,それを吸気から引いたものをCuff leak volumeとする。それが110㎖以下であったり,本来のTVの12-24%未満であればCuff leak volumeは減少していると考える)評価がある。

※定性的評価のみでは感度が15-85%,特異度は70-99%

 

私見

カフリークテストは抜管前の評価項目のあくまでも1つ

感度は高いが特異度は高くない

カフリークテストが陽性で抜管する場合はしかるべき準備をして,他職種で気道緊急に備える