亜鉛欠乏の話
今回の話の内容は
1.どんな時に亜鉛欠乏を考えるのか
2.どのように診断・治療するのか
3.補充後の注意点
の3つです。
ちなみに、微量元素は、「体内の含有量が鉄と同等以下の元素」と定義されています。(1)
中心静脈栄養用の微量元素製剤は、Mn含有かどうかで大きく分かれますが、基本的に「鉄・マンガン・亜鉛・銅・ヨウ素」を含んでいます。セレンやクロム、モリブデンなども微量元素ですがルーチンで入っていないことも多そうですね。
さて、前置きはこれくらいにして本題へ入りましょう。
1.どんな時に亜鉛欠乏を考えるのか
臨床的には、ここが一番大事かなと思います。どんな時に亜鉛を測定すれば良いのかということです。
リスクが高い患者群と、亜鉛欠乏を疑う症状について調べてみると
①リスクが高い患者
②亜鉛欠乏を疑う症状
(いずれも2より引用)
簡単にまとめると、「肝障害や、腎障害があったり慢性の消耗性疾患のある患者や、糖尿病のある患者」(かなり該当する患者さんが多そうですが)で、「口内炎や皮膚のびらん、貧血やALPの低値がある人」では測定を考えても良さそうです(ALPが亜鉛をもとに作られる酵素なので亜鉛欠乏を反映するそうです)。
妊婦さんでも気をつけないといけませんね。
2.どのように診断・治療するのか
3.補充後の注意点
亜鉛補充による副作用としては、消化器症状、膵酵素の上昇などがあります。亜鉛投与に伴って、鉄や銅の低下を引き起こすことがあるので、長期内服する場合は、亜鉛に併せて鉄や銅に関しても測定するようにしましょう。
今回の記事に関しては、up to dateも参照しましたが、参考文献にある「亜鉛欠乏の診療指針2016」が非常にまとまっていて勉強になりました。実際に亜鉛欠乏症の診療をする際には一読することをおすすめします。
それでは。
【参考資料】
1.重症患者の治療の本質は栄養管理にあった.真弓俊彦編.羊土社.2014年.p.82-84.