高K血症の初期対応とGI療法の実際
簡単なメモ書きです。
一般的に高K血症の初期対応として、カルチコール®の静注やGI療法など行われることが多いと思われますが、GI療法など割と慣習的にインスリン混注量を決めていたので、少し勉強してみました。
■高K血症の初期対応
以下は循環器系のガイドラインですが、高K血症に対する処方がよくまとまっていたので引用します。
(循環器医のための心肺蘇生・心血管救急に関するガイドライン ダイジェスト版より引用。http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2010_kasanuki_d.pdf)
ポイントは、細胞膜電位の安定化により致死的な不整脈を防ぐという意味でまず、カルチコール®1A(Ca3.9meq/10㎖)を緩徐に静注することです。
ちなみに、高K血症の心電図は、
①T波の増高
②P波の消失+narrow QRS(sinoventricular conduction)
③QRS時間の延長、房室ブロック
④サインカーブ様のQRS
⑤心室細動・心静止
のように変化していくので、narrow QRSでも、P波が消失している場合は要注意です。
T波の増高に関しては明確な定義はないようですが、QRS波高の1/2を超えると増高と捉える場合が多いようです。
■GI療法の実際
個人的には、院内製剤の採用の関係もあり、
40%ブドウ糖 40㎖にHur4単位混ぜたものをワンショット静注(ブドウ糖4gあたり1単位)することが多かったのですが、Up To Dateでは以下のような記載になっていました。
(Treatment and prevention of hyperkalemia in adultsIn: UpToDate, Post TW (Ed), UpToDate, Waltham, MA. (Accessed on Sep 29, 2016.))
和訳してみると、
①50%ブドウ糖+50㎖に10-20Uの即効型インスリン をワンショット静注
②10%ブドウ糖500㎖に10Uの即効型インスリン を1時間で持続静注
③ただし、低血糖が75%に起こるので投与後1時間は血糖チェック
④低血糖を避ける意味では、10%ブドウ糖500㎖に10Uの即効型インスリン を8-10時間で投与。1時間おきに血糖測定。
⑤効果発現まで10-20分、持続時間は30-60分、Kはおよそ0.5-1.2meq/l低下
とのことです。前述の循環器のガイドラインとほぼ同じ内容ですね。ただ、低血糖の合併が結構多い印象でした。
たまに自分のルーティンワークの見直しもしていきたいと思います。
それでは。