救急医 ざわさんのブログ

東京の病院で三次救急をやっています.自分の日常診療の延長でブログを始めました.ブログの内容の日常臨床への応用に関しては責任を負いかねますので,各自の判断でお願いします.内容や記載に誤りや御意見がございましたらコメント頂ければと思います.

創傷処置と縫合糸の種類

さて,記念すべき第1回目は研修医の先生と話題になった創処置に関する一般論です.

 

<内容>

1,創傷の分類

2,縫合する際に気をつけたいこと

3,縫合する際の手順

 

なかなか一般化するのが難しい分野ですが,何科にいっても創の縫合は行う可能性があります.それでは,見て行きましょう.

 

1,創傷の分類

一般的には「創」は開放性損傷を,「傷」は非開放性損傷を意味します.

その創傷がどのような機序で作られたかによって呼び名が変わりますので,カルテを記載する際には正確な記載が必要です.

(参照:創傷 日本救急医学会・医学用語解説集

 

2,縫合する際に気をつけたいこと

創傷処置においては,「縫合するか,しないか」の判断は重要です.

基本的には臨床判断になるので,洗浄するのか,縫合するのか,縫合しないのか(テープやステープラーの処置にするのか,創傷被覆剤を用いるのか)を判断します.

難しいところなので,研修医の先生は,創傷処置がある場合には,積極的に上級医の臨床判断について積極的に質問しましょう.

 

一般論として,

①清潔野以外で出来た創傷は不潔と考えて,よく洗浄する(基本的には水道水でOK)

②創を一期的に処置できるのは顔面であれば24時間以内,その他の部位であれば6−8時間を目安とする

③救急外来などで縫合する場合は翌日専門医へ紹介

④汚染が高度な場合は破傷風トキソイドの筋注も考慮

開放骨折を伴う場合は緊急手術の必要がある

⑥創部に異物がないか,レントゲンなどを用いて検索する

⑦縫合する前と後の状況を写真に撮ってカルテに残しておく.どんな糸で何針縫ったかも記載しておく

⑧抗凝固および抗血小板薬の内服の有無の確認

は行う様にしましょう.

 

3,縫合する際の手順

具体的な手順としては,

①必要であれば麻酔をして,流水でよく洗浄する.

交通外傷で範囲の大きな創傷の場合はシャワーでバケツ一杯分洗うこともあります

(形成外科の先生には「うちの救急の先生ってすごい洗うよね笑」なんて言われたりしますが…この辺りエビデンスがどうなっているかちょっと分かりません.ちなみに,縫合の際に滅菌手袋を使用する必要がないという先生もいらっしゃいますが,僕自身は清潔手袋を使用しています。)

 

※局所麻酔をする際は,アレルギーの既往のないことを確認した上でE(エピネフリン)入りキシロカインを使用すると出血が少なくなり処置が楽です.ただし,指や陰茎,耳介などにはE入りは原則使用しません.誤って血管内に投与することのないように逆血がないことを確認するようにしましょう.

投与から効果が出るまで5−8分程度かかると言われています.極量は3−5mg/kgですので使用しすぎに注意.ちなみに見た目は痛そうですが,表皮からではなく創部から注入した方が痛みは少ないです.

 

②消毒し,滅菌ドレープをかける

 

③糸を選択して,縫合する

糸の種類「吸収糸」or「非吸収糸」:体表の縫合では非吸収糸を選択

糸の種類「モノフィラメント」「編糸」:一般的にモノフィラメントの方が感染しにくい分,表面がつるつるしていて縫合しにくいです.体表の縫合ではモノフィラメントを選択しましょう.

太さ:顔面であれば5−0以下,その他の部位であれば3−0を選択することが多いです

 

※医療関係者向けですが縫合糸に関して詳しく勉強したい人は下記も参照してください.

www.covidien.co.jp

 

 

それではまた.